任意整理
|
|
1 任意整理の概要
任意整理とは、多重債務の状態に陥り約定どおりの返済が困難となった場合に、
サラ金業者等と交渉して、支払金額および支払期間等につき協議をしたうえで、新たに返済の
約定を締結するものです。
任意整理は裁判所を利用した整理(自己破産・個人再生等)ではないので、返済方法を定める
のに法的な規制はなく、返済能力に応じた返済方法を個々の債権者とそれぞれ締結することが
できるので柔軟な解決が可能です。
しかし、あくまで、法的な強制力がないので、見直し後の返済契約を締結するには、
個々のサラ金業者等との『合意』が必要になり、各別に和解契約を締結する必要があります。
以上のとおり、任意整理には非常に柔軟な解決ができるという利点があるのですが、任意整理を
する際には、慎重に家計を見直し、現在の正確な債務額を把握し、新しい返済計画により、返済を
継続することが可能であるかどうかを、十分確認しておかないと根本的な解決につながらない
場合があるので注意が必要です。
|
2 グレーゾーン金利
グレーゾーン金利とは、利息制限法に定める上限金利(元本10万未満の場合年20%、
10万以上100万未満の場合年18%、100万以上の場合年15%が上限となっています。)
は超えるが、出資法(出資の受入れ、預り金及び金利などの取締に関する法律)に定められる
上限金利(年29.2%)を超えない金利のことをいいます。
利息制限法では、同法に定める上限金利を超える利息の契約は、その超える部分に関して
のみ無効としており、また、出資法は、「金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う
場合」に年29.2%を超える利息の契約をした場合は、「5年以下の懲役若しくは1000万円
以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定めています。
そして、このグレーゾーン金利の部分については、貸金業法43条が、いわゆるみなし弁済を規定
するため、これの要件を満たす場合には、利息制限法の超過する利息の弁済が有効とみなされる
場合があるものの、同条の要件は、厳格であり、現在ではほとんどの貸金業者が
これを満たしていません。
したがって、ほとんどのサラ金業者等は、利息制限法に違反しているということができますが、
利息制限法には罰則規定がない(民事上無効)ため、「出資法は守るが利息制限法には違反
する。」という現状があります。
(無登録業者をヤミ金という場合もありますが、一般的には、
出資法に違反する貸金業者がヤミ金融業者といわれています。)
|
3 正確な債務額と和解契約
以上のとおり、ほとんどのサラ金業者等は利息制限法に違反し、無効な金利を収受しています。
そのため今までサラ金業者等に支払った利息を、利息制限法に基づく適正な金利で
『契約当初から』再度計算をして、それでもなお残った債務額が『正確な債務額』となります。
任意整理をする時に和解契約の基礎となる『債務額』とは、上記のような『正確な債務額』を指し、
サラ金業者等の主張する利息制限法に違反した利息による約定通りの残債務ではなく、
『正確な債務額』は、サラ金業者等の主張する約定残債務より少なくなります。
『正確な債務額』は、いままでお支払いになられた無効な利息の額に比例して減少することに
なりますので、返済をなされてきた期間により、それぞれ異なることとなり、これまでの取引の
調査をしてみなければ『正確な債務額』が一体いくら存在するのかは判明いたしません。
最終的な和解契約は、債務の調査により判明した『正確な債務額』を基礎として、債権者と
返済案について協議をし、和解契約書を取り交わし和解案に従い残った債務を返済する。
というものになります。
|
4 最後に
任意整理をする場合、自分自身で債権者と交渉し和解契約をすることは非常に困難であると
思います。
債権者に一方的に有利な和解契約を締結させられたりするというような事も考えられるので、
任意整理をお考えになられる際には必ず弁護士、司法書士といった専門家に相談し
依頼するべきでしょう。
また、どうしても自分自身で債務整理をしたい場合は、債権者と任意に交渉するのではなく、
特定調停の申立を考えるべきでしょう。
|