特定調停
|
|
1 特定調停の概要
特定調停は、経済的に破綻するおそれのある債務者(特定債務者)の経済的再生に資するため
民事調停法の特例として定められた法律=特定調停法による債務整理の手続です。
|
2 特定調停の特徴
特定調停の手続は、債権者との交渉を簡易裁判所での調停手続で行います。
経済的再生をはかるためには民事再生手続も利用できますが、特定調停はこれとくらべ、
手続進行が迅速で柔軟です。また、手続の費用が安く済むこともメリットを言えます。
そして、債権者との交渉する際は調停委員が間に入ってくれるので、法律家に依頼せずに
自分の力で借金を解決することができるということが、この手続の最大の特徴と言えるでしょう。
なお、特定調停手続は、裁判所を介してする任意整理のようなものと言えますが、
民事執行手続の停止、文書提出命令など裁判所手続ならではの措置も用意されています。
|
3 手続のすすめ方
特定調停は、相手方1社毎に1件の申立を行います。
申立書式は裁判所に備えてありますので、正副2通の申立書、財産状況等明細書、
関係権利者一覧表を、財産、収入を示す資料、家計収支表などと併せて提出します。
提出先は、原則として相手方の店舗等の所在地を管轄する裁判所ですが、
相手方が複数あるときは、そのうちのいずれかでまとめて調停が行われます。
申立後、調停委員と申立人との面談を経て、調停期日を決定する裁判所が多いようです。
調停の前提となる残債務額の確定に必要な取引履歴の取り寄せや、利息制限法による引き直し
計算は、裁判所がやってくれますので、申立人としては、事業や家計の収支表をつけて、
どのような弁済計画であれば生活や事業の再建できるのか把握することが重要です。
債権者との話し合いがまとまると、調停調書が作成されますが、裁判所が返済計画を作成し、
決定する場合もあります(民事調停法17条による決定)。
この決定の後、当事者から異議がなければ、
調停が成立したのと同様に、弁済計画が確定します。
なお、弁済計画は、債務者の経済的再生に資するとの観点から公正かつ妥当で経済的合理性を
有するものでなくてはならないとされています。(特定調停法12条)
|
4 特定調停の展望
特定調停法は2000年2月17日に施行され、その後申立件数が飛躍的に増加しましたが、
最近では申立件数が減少しています。
これは過払い金の返還が容易になったことや、司法書士が任意整理を多く行うように
なったことが影響しているものと思われますが、債務整理自体がなくなることはなく、
改正貸金業法が施行され、グレーゾーン金利が撤廃された後は、過払い金の返還によって
整理ができることはなくなりますので、借金の返済方法の交渉を自分の力で行う
特定調停は、再び、生活や事業の再建に生かされることになるでしょう。
|