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過払い金返還請求


1  過払金とは


  過払金とは、サラ金業者等から利息制限法の定める利率を超える借入れをしていた借主が、
利息制限法の定める利率であれば、既に返済が終了しているにも関わらず、それに気付かず返済
を続けてしまったために発生したお金のことを言います。

良く新聞・マスコミ等で過払利息の返還と言っていますが、利息制限法の定める利率を超える
借入れに対する返済であっても、利息制限法を超過する部分は借入元本に充当されるため、
未だ利息制限法の定める利率によっても、借入元本が存在する間は過払金の返還を
請求することは出来ませんので、ご注意下さい。

(但し、超高金利のいわゆるヤミ金融業者に対する返済については、返済金全額を請求可。)


2  何故過払金が発生するのか


  借入金の利息は利息制限法によって次のとおり制限されており、
これを超える部分は無効となります。

  • 元本10万未満の場合                  年20%
  • 元本10万以上100万未満の場合  年18%
  • 元本100万以上の場合                年15%
  無効である以上、超過利息を支払った場合には借入元本がある場合には元本に充当され、元本
がなくなったあとに支払った分については、不当利得となり、その金銭の返還を請求することが
できることになります。

  しかし、実際には、サラ金業者等による貸付けは、これを超える利率で貸付けがなされている
ケースがほとんどです。では何故利息制限法は守られていないのでしょうか。

  これは、1つには利息制限法に違反しても、出資法の利率(年29.2%)を超えない限り、
(この範囲の金利がグレーゾーン金利と呼ばれています。)刑事罰に処せられることがないことと、
もう一つはサラ金業者等には、貸金業規制法(現貸金業法)43条「みなし弁済」という規定により、
同法の定める要件を満たせば、利息制限法を超過する利息の支払を有効な利息債務の弁済と
みなすことが出来たからです。

  しかしながら、現実にはこの「みなし弁済」の要件は非常に厳格であり、ほとんどのサラ金業者
等がこの要件を完全に満たすことが、出来なかったところ、最高裁が平成18年1月に期限の利益
喪失特約(借主が約条利率を怠った場合には期限の利益を喪失し、残元本を一括して返済
しなければならないとの特約)がある場合にはみなし弁済の要件を満たさないと判断したことに
より、ほぼ全てのサラ金業者等の契約書にはこの特約が存在していたため、これ以後は、
みなし弁済を主張することがほぼ不可能になりました。

  これにより、サラ金業者等はこれまでグレーゾ−ン金利を取得してきた法的根拠をほぼ完全に
失い、借主による、不当利得(過払金)の返還請求が従前よりもやり易くなりました。


3  過払金返還請求の手続方法


  専門家に依頼されるのが一般的だと思いますが、ここでは、ご自身で過払金返還請求を
なさる場合の手続き方法について説明いたします。

  1. まずは、これまで借入れをしていたサラ金業者等(過去に完済した業者にも可)に対して、
    取引当初からの取引履歴(貸付日・借入額、返済日・返済額が記載された履歴)の
    開示請求をします。(この取引履歴については、大手の業者であればほぼ内容に間違いは
    ないと思われますが、稀に取引履歴が途中からしか開示されない場合や実際の取引内容と
    異なっている場合がありますので、明細書等資料をお持ちであれば、確認をして下さい。)

  2. そして、開示された取引履歴を基にこれを利息制限法の定める利率により引き直し計算
      (引き直し計算書のテンプレートについてはWEB上で無料でダウンロード出来るサイトが
      いくつかあります。ここでは司法書士の外山敦之先生のサイトを紹介いたします。
      →http://homepage1.nifty.com/office-toyama/)をします。

    (この際、サラ金業者等は法律上の原因がないことを知りながら、利息制限法の定める利率
    を超える利息を受領した民法704条の「悪意の受益者」として、過払金に受領の時から
    5%の利息を付すのが一般的です。)

  3. 引き直し計算の結果、過払いであることが判明すれば、訴外で過払金返還請求をするか
    過払金返還請求訴訟を提起します。(過払金の消滅時効は取引終了時から10年です。)

  なお、過払金返還請求を専門家(弁護士・司法書士)に依頼せず、ご自身ですることは可能では
ありますが、前述の民法704条の「悪意の受益者」に基づく過払金に対する利息の請求や取引の
分断がある場合の充当計算の方法等については、どうしても専門的な知識が必要ですので、
サラ金業者等に不利な和解に持ち込まれないよう、専門書籍等で十分知識を得た上、また、
場合によっては専門家にも相談することを検討し、手続きを進められることをお勧めいたします。


4  過払金返還請求は生活再建のための債務整理の一つの手段


  借金の返済でお困りの方の中には、過払金返還請求だけを行い、取引の短い業者には
そのまま返済を続けたいとの相談を時折お聞きいたしますが、過払金返還請求は生活再建の
ための債務整理のメニューの一つに過ぎないとの観点からすると、特別な理由がない限り必ず
全ての債務を整理するようにいたしましょう。

何故なら、過払金が戻っても他の債務が残ってしまい、経済的再建が果たせなければ、再び
多重債務に陥ってしまうことにもなりかねず、また債務の状況によっては、返還された過払金を
費用に充て、他の手続(自己破産、個人再生)をすることによって生活再建をすることが
出来る場合もあるからです。

したがって、少なくとも、専門家等に相談される時は、過払になっているものだけでなく、
必ず全ての借金の状況について話すようにして下さい。

5  最後に


  最近では東京・大阪等の大都市の弁護士・司法書士事務所による「過払金は取り戻せます。」
「全国対応OK」といった内容の新聞・テレビCM・電車の広告等が散乱していますが、これらの
事務所の中には過払金返還請求をビジネスとしてのみ捉え、依頼者の生活再建といった債務整理
の本来の目的を全く考慮せず、高額な過払報酬のみを追い掛け、多重債務者を金儲けのための
「食い物」にしている事務所もあると聞きます。

したがって、もし専門家に手続を依頼される場合には、これらの広告媒体のみに依拠することなく、
必ず専門家本人と直接面談の上、手続方法・報酬等について十分確認の上、自分が信頼できる
方に手続きを依頼いたしましょう。